場所はマディソンアヴェニューとイースト64thストリートの角。ボッテガ・ヴェネタは超一等地に、世界最大級となるブティック(メゾン)をオープンした。そして、そのオープニングを祝して、2018年秋冬メンズ・ウィメンズコレクションを今季に限りニューヨークで発表。その様子をリポートする。
文・森口德昭(GQ)
ファッションショーの会場は、かつてのアメリカン証券取引所(AMERICAN STOCK EXCHANGE)。ランウェイ・ウォークを終えたモデルは、センターに設営されたリビングルームでくつろぐ。そのリビングに、モダンアートが置かれていた。いかにもトーマス・マイヤーらしいニクい演出。
ニューヨークの2面性
ブランドロゴを前面に出さず、「自分のイニシャルで十分」という強いメッセージを発してきたボッテガ・ヴェネタは、どちらかといえば控えめな美学をもってその身上とする。とはいえ、それは、いわゆる「地味」ということではない。うつくしく鮮やかなカラー・パレットも多い。
初のニューヨークでのランウェイショーは、『FAKE ID』(Riton & Kah-Lo)という極めてニューヨーク的な、心躍るテクノミュージックでスタートした。
ミラノと同じくメンズ・レディスの合同ショー。メンズのみ追いかけていくと、ゼブラ柄やタイダイイエロー、真っ赤なセットアップ、さらにはモンドリアン柄(のトーマス・マイヤー解釈)と思わせるコートなど、カラーパレットはかなり濃いほうだ。さらに注視すると、テーラードジャケットのラペルにはシルバーチェーンのハンドステッチが施され、ボトム下に覗くソックスは超絶カラフル、というぐあいに、秋冬なのに色あざやかで、ハンド技が弾けるコレクション。素材力、職人技、機能性、デザインセンスが四位一体となって織りなす破壊力が、確かにそこにはあった。
用意されたリビングルームのソファに座っていく。そして、ショーが終わると、DJによるパーティがスタート。そうか、ニューヨーカーのライフスタイル・ウェアを表現しているというわけだ。
ショー前日に、少しだけトーマス・マイヤーの話を聞くことができたが、彼は「ニューヨークは大胆でクレージーという外向きの顔がある一方で、内向きな面もある」と語っていた。地下のクラブで激しく遊ぶ”動”と、セントラルパークでほっこり過ごす”静”。ボッテガ・ヴェネタの2018年秋冬は、そんな2面性をともに表現していた。
New York New Shop
世界で3番目の「メゾン」
ボッテガ・ヴェネタは、この新店舗をメゾンと呼ぶ。「そのメゾンが存在する都市のキャラクターを反映しています。その街の美しい建築に、私たちの美しい建築を融合させているのです」と語るトーマス・マイヤー。彼は、父が建築家であり、自身も建築家を目指した経験から、その内外装にはとことんこだわった。「オープンまで5年かかった。19世紀に建てられた3つの建物をひとつにくっつけました。メタルやストーンの色にもこだわり、この場所に馴染む絨毯も特注したものです」。街と建築をリスペクトしたボッテガ・ヴェネタのメゾン。そこで新作は、ひときわ輝いて見えることだろう。
740 Madison Avenue, New York
1 212 371-5511
トーマス・マイヤー
「ボッテガ・ヴェネタ」クリエイティブ・ディレクター
2001年2月「ボッテガ・ヴェネタ」がケリング(旧グッチ・グループ)に加わり、同年6月よりクリエイティブ・ディレクター。世界有数のラグジュアリーブランドに育てあげた。トーマス自身はニューヨークとフロリダに居を構え、建築をこよなく愛する。
PROVIDER
https://gqjapan.jp/fashion/news/20180421/bottega-veneta-in-ny/page/2/gallery/15
SYLVIE VINTAGE
https://sylvie.theshop.jp
0コメント