最新コレクションを纏い、2018-19AWパリコレのランウェイを堂々と歩いたモデルたち。そんな彼女たちのショー前のバックステージの様子をアシスタントエディターが徹底取材した。
今注目のモデルが勢揃いしたロエベから、アンバー・ヴァレッタやカイア・ガーバーなど豪華モデルが出演したイザベル・マランまで、各メゾンのショーを彩ったモデルたちにフィーチャーする。さらに詳しいモデルたちの様子は、『VOGUE JAPAN』6月号(4/26発売)のパリコレ特集(P.129)にて余すところなく公開。お見逃しなく!
LOEWE
ボーホーシックに知性を纏う。
ミニマルな装いが似合う、知的で落ち着きのある女性像を描き出したLOEWE(ロエベ)。
レザーやファーなどリュクスな素材をドレスやアウターにあしらいつつも、控えめな装飾とのバランスはリラクシングムードの中に気品が漂う。ディテールに目を配ると、裁断からテーラリングまで精巧なクラフトマンシップが光り、大人の女性のワードローブにふさわしいアイテムの数々だ。
注目度大のカーラ・テイラーの尊敬する人は?
Photos: Ryusuke Hayashi
今シーズンのランウェイで頭角を表したモデルたちが多く登場したロエベ。
キリッとした眉毛とニュートラルな顔立ちが印象的なカーラ・テイラー(写真左)。ショーによってさまざまな表情を見せる彼女だが、バックステージで声をかけると驚くほど元気でチャーミング。尊敬する人を尋ねると、「デザイナーはもちろん、ヘアメイク、モデル、一緒に働くみんなね。選ばれた人しかここには来れないでしょ?だからこの世界で一緒に仕事をするみんなのことを尊敬しているわ!」と愛嬌たっぷりに応えてくれた。
ランウェイではマニッシュなトラッドスーツをクールに着こなした、サラ・フレイザー。(写真右)彼女の尊敬する人は、「ラフ・シモンズよ。服を纏うモデルの仕事をしてるからこそ、彼が服をデザインするプロセスを見て感動したわ。」と、デザイナーへの尊敬の念を語ってくれた。
Photos: Ryusuke Hayashi
端正な顔立ちでブラジル人のヤミリー・メウレール(写真左)は今シーズン、バレンシアガ(BALENCIAGA)を始めとする数多くのビックメゾンのショーに出演。彼女の尊敬する人を尋ねると、「リック・オウエンス(RICK OWENS)ね、彼のデザインするものは全てアートピースのようで大好きよ。」と、熱心なファンであることを語ってくれた。
ブリティッシュVOGUE最新号(5月号)ではカバーを務めるなど、モード界で存在感を発揮するフラン・サマーズ。(写真右)ショッピングモールでメイクアップアーティストにスカウトされ、次の日にはケイト・モスやカーラ・デルヴィーニュを輩出したエージェンシーへの所属が決定。その後、すぐにジェイダブリュー アンダーソン(JW ANDERSON)でランウェイデビューというまさにシンデレラストーリーの持ち主。
前日のクロエ(CHLOÉ)でもファーストルックで登場し、堂々としたウォーキングを披露した。
ISABEL MARANT
テキサスのカウボーイ・スタイル。
ISABEL MARANT(イザベル・マラン)の今シーズンのテーマは、テキサスのカウボーイ・スタイル。ただ、大草原で馬に乗って牛を追い回すというよりは、うまく都会の洗練されたスタイルへと落とし込んだ。
また、今シーズンは初めてメンズコレクションも発表。女性の服で使用したモチーフを、男性のシルエットに変えたり、男性の服で使用した素材を、女性の服へ転用したり。"ジェンダーレス"という言葉にふさわしいコレクションとなった。
ショー直前のメイクルームは大忙し。
Photo: Ryusuke Hayashi
コレクションを発表する約3時間前。イザベル・マランのバックステージではモデル、スタッフ、メディア陣など大勢の人で大渋滞が起きていた。ここはメイクアップブースの一角だが、通ろうにも通れない。熱気と慌ただしさが本番への緊張感を一層高めていく。
アンバー・ヴァレッタからカイア・ガーバーまで勢揃い。
Photos: Ryusuke Hayashi
そんな慌ただしさの中でも冷静なモデルたちを発見。
誰よりも落ち着いた様子で淡々と準備していたのは、「ツイッギーの再来」とも呼ばれたスーパーモデル&女優のアンバー・ヴァレッタ。(写真左) 現在はチャリティー活動にも積極的に参加している彼女。今ではショー出演はとても珍しく、貴重な瞬間に立ち会うことができた。ショー前の気持ちを尋ねると、「イザベル・マランは大好きなブランドだし、とても興奮してるわ。」と気さくに応じてくれた。
さらに、パリコレでは唯一のショー出演となったジジ・ハディッドの姿も。(写真右)彼女の周りにはひと際メディアが集まっており、注目度の高さがうかがえた。『VOGUE JAPAN』6月号(4/26発売)では表紙を飾る彼女。そんな彼女にとってのスタイルアイコンを尋ねると、「いつだってリアーナよ。彼女のファッションは、自分が着たいと思う服を着ていて、本当に面白い。恐れ知らずな部分も含めてね。」とリアーナをとても尊敬していた。
Photos: Ryusuke Hayashi
ショースタンバイエリアでは、今最も勢いのあるモデルの一人、カイア・ガーバーを発見。(写真左)ショー直前、「調子はとてもいいし、興奮してるわ!」とこれから始まるショーへ興奮気味な様子。ショー後、カイアは次のショーに向かうため、すぐさま着替えて一番に会場を後にした。コレクション期間中、多忙を極めるモデルたちのスケジュールは分刻みのようだ。
とびきりキュートな笑顔を向けてくれたのは、「東欧の美女」と呼ばれる、アンドレア・ディアコヌ。(写真右)彼女は服について、「私が好きな服は環境に優しいアップサイクルされているものや、リサイクルされているもの。スタイリッシュな服は、何より着心地がよくないとね。」と自然を愛する彼女らしい考えを聞かせてくれた。
モデルがランウェイを歩いている時、デザイナーは?
Photo: Ryusuke Hayashi
イザベル・マランのショーは、バックステージにいるスタッフ全員のカウントダウンとともに始まった。モデルたちが順々にランウェイへ歩き出す中、モニターを見つめているのはデザイナーのイザベル・マランだ。(写真右)会場内を様々な角度から映し出すモニターで、服の見え方やモデルのランウェイの様子、会場の雰囲気まで隈無くチェック。ショーの最中はモニターから片時も目を離さず集中していた。
BEAUTIFUL PEOPLE
男性性をフェミニンに表現。
Catwalk Photos: InDigital
ショー初参加となったBEAUTIFUL PEOPLE(ビューティフルピープル)。記念すべきコレクションのテーマは、相反する要素としての「男女」。
フロックコートやレザージャケットなどマスキュリンな印象をもつ直線的なシルエットを、裁断の工夫によって女性的な滑らかな曲線に仕上げた。とことんこだわり抜かれたシルエットは、女性が力強く着れるパワードレスとなってモダンな装いを叶えてくれる。
日本人モデルも大活躍。
Photos: Ryusuke Hayashi
パリコレ最終日がショーとなったビューティフルピープル。本番の約2時間前、取材のためバックステージへ入ると、そこはずっと落ち着いた雰囲気で、むしろ朗らかな空気感が漂っていた。
ジャパニーズブランドということもあり日本人スタッフも多く、さらには江原美希(写真左)や松岡モナ(写真右)といった世界で活躍する日本人モデルの姿も。ショー直前のスタンバイエリアで笑顔を覗かせていた江原美希は、リラックスした様子でスタッフとの会話を楽しんでいた。メイクルームでは、こちらも落ち着いた様子の松岡モナ。数多くのショーを経験している二人はまさに日本が誇るモデルだ。
ちなみに今回のメイクのアクセントとなった桜色リップは、モデルに合わせて色味を調整するためラベンダーをミックスさせているという。
スタッフ一丸となってピンチを乗り切る。
Photo: Ryusuke Hayashi
実は今回、デザイナーの熊切秀典が体調不良のためショーを欠席。デザイナー不在という突如現れた危機だったが、スタッフ間に焦る様子はない。一つ一つ細かい部分までスタッフ同士で確認を重ね、冷静に対応していた。見事な連携プレーから乗り切った初のパリコレショー。今後のビューティフルピープルの活躍から目が離せない。
SACAI
アシンメトリーな躍動感で魅せる。
Catwalk Photos: InDigital
阿部千登勢によるサカイ(SACAI)は、今季もハイブリットなスタイルでモードラバーの心を惹きつけた。ボリューミーなダウンとストライプが掛け合わされたアイテムを纏ってファーストルックで登場したのは、今シーズンも数々のビックメゾンのショーで大活躍だったカイア・ガーバー。
その後は、色や素材のミックスでマスキュリンなムードが表現されたルックや、イーグルモチーフや民族的な柄が描かれたドレスなどが続いた。足もとには左右でパターンが異なるシューズを配すなど、細部までこだわり抜かれたユーモラスな演出が心憎い。
本番まで自分なりのスタイルで過ごす。
Photo: Ryusuke Hayashi
ハードスケジュールが続くコレクション期間中は、体力勝負。一日に何本ものショーをこなすモデルにとって、エネルギーチャージは必須。
サカイのバックステージには、フィンガーサイズのケーキやフルーツ、ハンバーガーなどがずらり。栄養を気遣ったヘルシーなものから、見映えが美しいスイーツまで豊富に揃っており、それぞれのモデルが自分のコンディションに合わせてセレクトできるようサポート体制は万全だ。
Photo: Ryusuke Hayashi
本番は十数分間のショーだが、モデルたちはショー開始の3、4時間前にはバックステージ入りする。ヘアメイク、リハーサルを終えた後、フィッティングまでの待ち時間はそれぞれが自由なリラックス方法で過ごす。
iPhoneで動画を観たり、黙々と本を読んだり、はたまた睡眠をとっているモデルまでいてその過ごし方は十人十色。一流モデルとして、本番で最高のパフォーマンスができるよう、自分のルーティンを行っている姿はまさにアスリートのようだ。
Editor: Anna Togashi
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