写真家・鈴木親(すずき・ちかし)の展覧会「晴れた日、東京」が、4月21日〜6月2日まで品川のKOSAKU KANECHIKAギャラリーで開催中だ。東京の"個性"を写した写真31枚が展示される。
文・沖浦裕明(GQ)
2011年に染谷将太を渋谷で撮影/© Chikashi Suzuki, Courtesy of KOSAKU KANECHIKA
鈴木親はフランスのファッション誌『Purple Magazine』で1998年にキャリアをスタートしたフォトグラファー。トーガやイッセイ ミヤケなどの広告撮影をはじめ、国内外のファッション撮影を中心に活動している。
「晴れた日、東京」はかれの初の作品展で、20年のキャリアを代表する31点が展示されている。 展示した31点で目立つのは、4分の1の点数にあたる8枚の写真がハーフ・サイズ・カメラで撮影されていること。
ハーフ・サイズのカメラでは、通常のフィルムのひとコマぶんのスペースに2カット収納することができるという特性を利用して、たとえば俳優の染谷将太の写真の場合、通常のフィルムの1コマと4分の1のフレームワークのなかに3つのカットを収容して、通常の写真にはないプロポーションの構図をつくりだし、視覚的な異化効果を出している。 また、写真の色味が青みがかっているのは、タングステンのポジフィルムで撮影しているため。
鈴木は「デジタルが当たり前の時代なので、フィルムのアナログな手法や質感が逆に新しい。それに、生々しい質感のポジフィルムの場合、東京の湿度が写る」と述べる。
2016年に小松菜奈を五反田で撮影/© Chikashi Suzuki, Courtesy of KOSAKU KANECHIKA
初の作品展の作品は、東京で撮影したものに限った。ランドマーク的な建物は一切ないが、「電柱やガードレール、それにストリートのランダムな文字が海外の人の目には日本的だと感じてもらえるでしょう」と語る。
2017年に菊地凛子を六本木で撮影/© Chikashi Suzuki, Courtesy of KOSAKU KANECHIKA
2010年に安藤サクラを目黒で撮影/© Chikashi Suzuki, Courtesy of KOSAKU KANECHIKA
2008年に画家の五木田智央を仙川で撮影 /© Chikashi Suzuki, Courtesy of KOSAKU KANECHIKA
「晴れた日、東京」というタイトルは、篠山紀信が1975年に出版した写真集「晴れた日」にちなむという。「長嶋茂雄さんのホームラン写真からグラビア、政治、何から何まで、昭和50年に篠山さんが撮ったジャンルレスな写真が記録された写真集で、時代が写っていると感じました。自分もそんなフォトグラファーを目指したいという願いを込めて、このタイトルにしたわけです」
2005年の写真集「Shapes of Blooming」に収録の1枚 /© Chikashi Suzuki, Courtesy of KOSAKU KANECHIKA
鈴木親・展覧会「晴れた日、東京」
2018年4月21日(土)〜6月2日(土)
11:00〜18:00(金のみ11:00〜20:00) 休廊:日・月・祝
東京都品川区東品川1-33-10 TERRADA Art Complex 5F KOSAKU KANECHIKA
03-6712-3346
© Chikashi Suzuki, Courtesy of KOSAKU KANECHIKA
PROVIDER
https://gqjapan.jp/culture/bma/20180509/suzuki-chikashi-a-fine-day-in-tokyo
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