建築もお目当てに。世界のデザイン美術館



ケープタウンに完成した現代美術館や、巨匠が手がけた最新技術を駆使した美術館など。この目で見に行きたい美術館建築。



▪︎南アフリカ・ケープタウン
Zeitz Museum of Contemporary Art Africa
天井から光が差し込むアトリウムのビル側からサイロ側を見た様子。筒状のサイロの中をガラス張りのエレベーターが走る。
© Iwan Baan


ケープタウンの港湾地区に立つ穀物サイロを大胆リノベーション

21世紀のアフリカ現代美術を扱う美術館として、2017年にケープタウンのV&Aウォーターフロントにオープン。1924 年に建てられた高さ33mの穀物サイロと隣接するエレベータービルを、その歴史的意義に配慮しながら改築したのはトーマス・ヘザーウィックだ。サイロとビルの内側に、かつてここに納められていたトウモロコシの粒の形に穴をあけるという奇想天外なアイデアから生まれた建物は、一躍ケープタウンのランドマークに。


Zeitz Museum of Contemporary Art Africa
住所/Silo District, S Arm Road, V&A Waterfront, Cape Town, 8002
営業時間/10:00~18:00(水~月曜)、10:00~21:00(第1金曜)
定休日/火曜
tel. +27-87-350-4777



▪︎アラブ首長国連邦・アブダビ
Louvre Abu Dhabi
23の常設ギャラリーや子ども博物館などからなる白い建物群。ギャラリーでは先史時代の工芸品から現代美術まで、多彩な作品を展示。水面に浮かんでいるような音楽ホールやレストランなどもある。© Louvre Abu Dhabi 
- Photo by Mohamed Somji


アラブ文化に敬意を表しながら最先端の技術に挑んだ巨大ドーム

ルーブル美術館初の海外別館として、またアラブ世界初の恒久的博物館として、2017年にアラブ首長国連邦の首都アブダビの北側500mに位置するサディヤット島にオープン。建築を手がけたのはプリツカー賞受賞者、ジャン・ヌーヴェルだ。群島のように浮かぶ白いパビリオンの上に載せられた、直径180mのスティール製のドームは、アラビア風のアラベスク模様を描きながら、その下に風の通り抜ける快適な環境を生み出している。


Louvre Abu Dhabi
住所/Saadiyat Cultural District Abu Dhabi
営業時間/10:00~20:00(木・金曜~22:00)
tel. +971-600-56-55 66



▪︎モロッコ・マラケシュ
Musée Yves Saint Laurent Marrakech
エントランスには「YSL」のロゴマークが。© Fondation Jardin Majorelle 
- Photo by Nicolas Mathéus


サンローランが愛したマラケシュに貴重なアーカイブが集結

2017年秋、サンローランの功績をたたえる美術館が誕生した。場所はピエール・ベルジェ財団が所有するマジョレル公園から徒歩1分。床面積4000㎡に及ぶこの美術館の建築は、N.Y.の「バルマン」のブティックなどを手がけたフランスの若手建築デュオ、スタジオ・コーが担当した。モロッコの日干しレンガをレースのように組み、モダニズム的な直線と曲線を組み合わせた建物は、周囲の風景に溶け込みつつ、エレガントな存在感を放っている。


Musee Yves Saint Laurent Marrakech
住所/Rue Yves Saint Laurent 40000 Marrakech
営業時間/10:00~18:00
定休日/水曜
tel. +212-5-24-29-86-86



▪︎エジプト・ギザ
The Grand Egyptian Museum
© Archimation


ピラミッドの威光を反映する巨大建築
三大ピラミッドが鎮座するエジプト・ギザ地区に2018年末に誕生する世界最大の考古博物館。延床面積9万㎡の巨大建築を手がけたのはアイルランドの設計事務所、ヘネガン・ペン。砂漠と高原の高低差を利用した建物の外壁には光を透過する石材を使用、ピラミッドの三角形がデザインの随所に取り入れられている。

The Grand Egyptian Museum
住所/Al Remayah Square, Pyramids, Giza
※2018年末オープン予定



▪︎日本・湯布院
Comico Art Museum Yufuin
由布岳が見える2階のラウンジ。外には活火山である由布岳との関係性を示した枯山水の庭が。© NHN JAPAN Corp.


温泉地に溶け込む小さな現代美術館
温泉地として有名な大分県湯布院町に2017年10月にオープンした、村上隆や杉本博司の現代美術作品を展示する美術館。建築は隈研吾で、コンセプトは「由布院の風景に溶け込むムラ」。水盤を介して二つの展示空間が向き合うように配置されている。由布岳や周囲の環境を際立たせるべく、外壁には焼き杉が使われている。

Comico Art Museum Yufuin
住所/大分県由布市湯布院町川上2995-1
営業時間/9:30~17:30
定休日/隔週月曜



▪︎中国・北京
The Guardian Art Center
下層階の外壁にはいくつもの丸窓が。窓の向こうに見えるのは、北京の伝統的なレンガ造りの家並み。© Buro Scheeren 
- Photo by Iwan Baan


北京文化の過去と未来をつなぐ重層的な構成のアートセンター

北京中心部の紫禁城そばに2018年にオープンする、美術館、ギャラリー、オークションハウスなどを含む複合的アートスペース。北京を拠点に活動するオーレ・シェーレンが設計を担当した。中国の歴史や伝統と未来的な視点を共に表現した建物の上階に使われたのは、レンガを模したガラスパネル。周囲に立つ伝統的な住居や胡同との調和を考えてデザインされている。施設内にはホテルやイベントスペースもあり、地下鉄駅とも直結。

The Guardian Art Center
住所/No.1 Wangfujing Street, Beijing
※2018年5月オープン予定



▪︎フランス・モンティニャック
Lascaux International Center For Cave Art
稜線を這うように立つ有機的な建物。見晴台からモンティニャック村とヴェゼール渓谷を一望できる。© Boegly +Grazia


クロマニヨン人の視点を追体験するドラマティックな展示空間

2016年12月にフランス・モンティニャックにオープンした、ラスコーの洞窟壁画の保存と普及のために造られた4番目の施設。1963年に閉鎖されたラスコー洞窟全体を原寸大で再現したインタラクティヴな展示が楽しめる。ランドスケープデザインを得意とするスノヘッタと数々の博物館を手がけてきたカッソン・マンによる建物は、緩やかな丘陵地帯とヴェゼール渓谷を自然につなぎ、観覧者を先史の世界へ誘うと高く評価されている。
Lascaux International Center For Cave Art
住所/Centre International de l’Art Parietal - Avenue de Lascaux - 24290 Montignac
営業時間/l9:00~19:30(3/31~7/8)、8:00~21:30(7/9~8月)、9:00~19:30(9月)、9:30~19:00(10月)、10:00~18:00(11月~3/30)



▪︎中国・深圳
Design Society
Sea World Culture and Arts Center
深圳市の西端に位置し、香港島を望むことができる。© Maki and Associates


深圳に誕生した芸術文化の複合施設
2017年にオープンした、深圳市蛇口の海上世界エリアの核となる文化芸術センター。美術館・劇場・多目的ホール、文化的活動に関連した商業施設からなる、中国初の複合施設だ。周辺の海や公園、山や街と、建物とのつながりをコンセプトにした建築を手がけたのは槇文彦。外部空間との連続性を考えた造りで、海側、公園側、街側と入り口を複数用意。さまざまな展示空間を自然に回遊できる一体感のある構成も魅力だ。


Design Society | Sea World Culture and Arts Center
住所/1187 Wanghai Road, Shekou, Nanshan, Shenzhen
営業時間/10:00~20:30(金・土曜~21:30)
tel. +86-755-2667-1187



▪︎サウジアラビア・ダーラン
King Abdulaziz Center for World Culture
2007年に行われたコンペを勝ち抜いた、スノヘッタによるダイナミックなランドスケープデザインは発表当時から大きな話題に。蛇行する通路の曲線はシンボリックな中央の塔まで引き継がれている。©Snøhetta


サウジの知が結集した砂漠に立つ未来的な塔
サウジアラビアの産油地帯ダーランに国営の石油会社サウジアラムコが設立した、研究室、図書館、劇場、博物館、美術館などを兼ね備えた「知の塔」。スノヘッタによる、巨大な岩石を並べたようなユニークな建築デザインは、サウジアラビアの歴史や地質などにインスパイアされたもの。砂漠の中に立つ、曲線を描くステンレス鋼管で覆われたファサードにも注目が集まっている。

King Abdulaziz Center for World Culture
住所/Ring Rd, Gharb Al Dhahran, Dhahran 34461
※今秋オープン予定



text:SHIYO YAMASHITA
realization:MIKI TAMURA


BY ELLE


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