インテリアのイメージソースはこの映画から。



『ティファニーで朝食を』で、オードリー・ヘプバーン演じるホリー・ゴライトリーが住むボヘミアンなアパートをはじめ、映画のストーリーを物語る上で、時に登場人物と同じくらいのインパクトを持つインテリア。20年代の古き良きトーキー映画から、今年のアカデミー賞を騒がせた最新作まで。あなたの家のインテリアにひらめ気を与える秀逸な映画セットをご紹介しよう。
 


やっぱり大好き! ウェス・ワールド。
映画 『ザ・ロイヤル・テネンバウムズ』(01)より。子供時代のテネンバウム家の三兄弟は全員天才児という設定のため、インテリアには大量の本が! Photo: Alamy

ウェス・アンダーソン監督作品を見た後は、誰もが一度は家の模様替えをして見たくなるだろう。 『ザ・ロイヤル・テネンバウムズ』(01)のデカダンス風住居から、黄色いインテリアが特徴的な『ホテル・シュヴァリエ』(07)まで。彼の色彩豊かで左右対称的な映画セットはとても人気があり、独自のインスタグラムアカウントさえある。例えば、35万人以上のフォロワーを誇る

@accidentallywesanderson。このアカウントには、ウェス・アンダーソン風のキッチュな美しさを模倣する建物とインテリアの写真がたくさん投稿されている。

映画『ホテル・シュヴァリエ』(07)より。黄色といえど、実に20色以上の色調が組み合わされているそう。 Photo: Alamy



ミニマリストの夢! 登場人物の心理を描写するインテリア。
映画『アメリカン・サイコ』(00)より。漠然とした空間に、主人公の心理状態を垣間見ることができる。 Photo: Alamy

1980年代後半のマンハッタンを舞台にした映画『アメリカン・サイコ』(00)に登場する、殺人鬼パトリック・ベイトマンの部屋を見てみよう。アンダーソン映画に見られるようなドリーミーな雰囲気は皆無で、その代わりにあるのは、真っ白な壁とちぐぐな家具。モノクロを基調としながらも、殺風景でどこか落ち着かないこのインテリアは、美術監督のギデオン・ポンテにより主人公の心の闇を映し出すようにデザインされている。

映画『エクス・マキナ』(15)より。女性型AIが主人公の近未来的なストーリーの中に、あえて有機的な天然素材をミックス。 Photo: Rex Features

アリシア・ヴィキャンデル主演のSFスリラー映画『エクス・マキナ』(15)のセットも同様にミニマルでエッジィだ。ガラスの壁と、木や石といったナチュラルな素材をうまくコビネーションして作られたセットはノルウェーの建築事務所、イェンセン・アンド・スコドヴィンが手がけている。



映画史に残る、印象的なセットの数々。
『踊る娘達』(28)
Photo: Rex Features

ジャズとダンスを享楽する自由で近代的なヒロインを反映するかのように、型にとらわれないモダンなインテリアが目をひく。



『サンセット大通り』(50)
Photo: Rex Features

ロサンゼルス郊外の豪邸を舞台にした物語。往年のハリウッド大女優好みの調度品の数々が象徴的。



『月蒼くして』(53)
Photo: Rex Features

マンハッタンを舞台にしたラブコメディ。ワゴン式のバーカウンターに置かれたアルコールとグラスが意中の女性とのロマンティックな夜を演出する。



『夜を楽しく』(59)
Photo: Getty Images

同じアパートメントに住む室内装飾家のジャンと作曲家のブラッド。NYという大都会を舞台にしながらも、燦々と陽の光が注ぐカウチで飲み物を片手にリラックスできるとは、なんとも贅沢。



『ティファニーで朝食を』(61)
Photo: Alamy

自由なライフスタイルを謳歌する気ままな女性、ホリー・ゴライトリーの住むアパート。全体的に白を基調とし、椅子やクッション、ブランケットなどは、差し色として明るめの色をセレクト。



『卒業』(67)
Photo: Rex Features

壁紙やカーペット、ドレッサーなど全てを白で統一し、ゴールドでコントラストをつけたフェミニンな私室。おしゃれをするのが楽しくなりそう。



『アメリ』(01)
Photo: Rex Features

空想の世界に浸りがちなアメリの日常を描いた作品。奇妙だけれど、けして憎めない主人公のベッドルームは、一見奇抜だが不思議な調和を見せている。このレトロでキュートなインテリアを真似したい視聴者が続出したのは言うまでもない。



『エデンより彼方に』(02)
Photo: Alamy

1950年代のブルジョワ家庭が住む部屋を再現したセットは必見。壁と一体化するレンガ作りの暖炉はモダンでクール。



『マリー・アントワネット』(06)
Photo: Rex Features

ソフィア・コッポラの手にかかれば、18世紀フランスの宮廷もこんなにキュートに。



『つぐない』(08)
Photo: Rex Features

1935年のイギリスが舞台となった作品。ソファー、カーテン、ラグなど、いたるところにフローラルな柄があしらわれていてエレガンスを感じる。



『抱擁のかけら』(09)
Photo: Alamy

ペネロペ・クルス演じる絶世の美女との禁断の恋を描いた濃厚なヒューマンドラマ。逃避行で訪れた島での滞在先は、二人の束の間の幸福を象徴するかのような、明るくポジティブなムード溢れるインテリアで飾られている。



『ゴーストライター』(10)
Photo: Rex Features

冬の小島で執筆をするユアン・マクレガー演じるゴーストライター。不安を掻き立てるような鉛色の景色を望む彼の部屋は、重厚感のある家具に囲まれている。



『ムーンライズ・キングダム』(12)
Photo: Rex Features

舞台は1960年代、好奇心溢れる子どもたちが逃避行を企てる。カウチのように改造した窓際のスペースは読書に最適。



『華麗なるギャツビー』(13)
Photo: Rex Features

20年代のジャズ・エイジを舞台に、ニューヨークの郊外、ロングアイランドに住む大富豪ギャツビーの美しくも切ない物語。豪華絢爛なライフスタイルを象徴するアール・デコ様式の装飾が華やかに映画を盛り上げている。



『パディントン』(14)
Photo: Rex Features

誰もが知る児童文学「くまのパディントン」の映画化作品。カラフルな木馬や球体のオブジェなど、子供も喜びそうな遊び心がたくさん散りばめられている。



『キャロル』(15)
Photo: Rex Features

1950年代のニューヨークを美しく再現。惹かれあう二人の女性の逃避行を描いたシーンでは、落ち着いたグリーンを基調とした上質なインテリアからなる空間が親密な雰囲気を作り上げる。

Text: Annachiara Biondi

 

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